ソフビ制作ガイド 第1章 『何を作るか決める』
- エンビー
- 2月22日
- 読了時間: 7分
更新日:3月25日
ソフビ制作の一歩目。ここからすべてが始まります。
初心者が学ぶべきソフビの設計入門といったところでしょうか。
極論「何を作るか」考え始めたらプロデューサー兼ディレクター業の始まりです。
「実現できるか?」「資金は足りるか?」はもう少し後からでもいいので
まずはアイデアをアウトプットするところから始めましょう。

オリジナルを生み出すという事
創作と向き合う
世の中の様々なコンテンツや創作物と同様に、ソフビを作るという事は
なかなか、一筋縄ではいかない作業です。
漫画やアニメ、映画。様々なエンタメが溢れる世の中で
「オリジナルのフィギュア」というカテゴリーに飛び込む準備をしましょう。
誰もが必ずしも売れっ子ソフビ作家になれる訳ではありませんし
厳しい現実にも向き合わなくてはなりません。
自身の才能を信じ、取り組まなくてはなりません。一緒に頑張りましょう。
トピック3:何をつくれるかを知る
トピック4:スラッシュ成型ってなに?
考えたものをイラストに描いてみる
絵が描けるかどうかは関係ない
最初につまづく段階で多い悩みが「立体的に絵が描けない」です。
頭の中にあるイメージを紙や画面に落とし込む事が出来ない。そういう人は意外と多いです
ですが、そんな事は実は関係無いのです。
描けないなら、練習して描ける様になる。or 描ける人に依頼する。で良いのです。
自分で納得のいく方を選択してください。
100%自分の作品にするため手出し無用!というなら、イラストの練習あるのみです。
ご自身の回りにイラストを得意とする方がいる場合はその人を頼ったり
居ない場合でも、探して見つけてくる。という事が出来ると思います。
イラストレーターさんに絵を描いてもらう場合は当然、依頼料が必要ですし
自分の考えたキャラクター等を出来るだけ正確に伝えるコミュニケーション能力が必須です
ソフビの設計図の雛形ともいえる「3面図」を描いて貰うとなれば
通常1枚絵と言われるイラスト1枚の作業量よりも必然的に単価は上がりますので
3面図を5万~10万円程度で描いてくれるイラストが趣味という方も居れば
プロイラストレーターへの依頼では細かい製図まで含めて30万円以上など
「誰に」描いて貰うかで値段はピンキリです。
プロデューサーとして、自身に最適な方法を考えましょう。
気を付けるべきポイント
イラストの制作はソフビ制作において、あくまで最初の一歩です、目的ではありません。
そのイラストを元に「ソフビに適しているか」「立体化出来るか」を考える必要が
あるため「ソフビ人形にする為」の作画能力が必要になります。
その辺りのポイントは後述する「イラスト制作・設計のポイント」での解説と併せて確認してください。
イラストを立体物として想像する
イラストは平面なので2次元的な表現になりますが、フィギュアは立体物ですので
3次元的に考える必要があります。
先の説明で「3面図」という言葉が出てきましたが、これが平面を立体的に考える
手掛かりとなります。
簡単に言えば構造の話ですので正面と側面の平面絵が2枚あれば「奥行き」は
勝手に生まれるのです。
例えば、正面が「円」側面も「円」の設計で四角いブロックを削ってみましょう。





そうすると四角いブロックは「球」になります。
この「球」の状態が「立体化した」という状態です。
上記の工程をもっともっと複雑に組み立てていく事が、原型師、モデラー。という方々の
「平面から立体化する」というお仕事になります。
「作りたいもの」の「正面」と「側面」の最低2枚から始まり。
情報量を補足するためには、下からのアングルや上からのアングル。
左右非対称にするためには「右側面」「左側面」といったイラストが必要になりますが
立体化に必要な材料として最低限必要な情報、設計図として「3面図」が必要になります。
何をつくれるかを知る
あなたのデザインはソフビ向きかどうか知る
立体造形作品を作るには様々な材質、それに伴った技法や技術があります。
石や材木を使った彫刻、銅像を建てる時に使われる鋳造。粘土を使ったり、紙を使ったり。
自身の作品作りに適した材質選びがポイントです。その中でもソフトビニールを使いたい。という事であれば、ソフトビニールが得意な事。苦手な事は押さえておくべきと思います。
例えば、プラモデルのような「ロボット」や「戦車」「戦艦」といったモチーフには
ソフトビニールは材質的には余り適していません、苦手なジャンルとも言えます。
名前の通り「柔らかいビニール」なので、硬さが重要になる造形にはそもそも不向きです。
キッチリカッチリしたプラスチック程の強度が出せず、平面パーツも不得意です。
得意な部分はというと、中空構造を活かした丸いデザインや、レトロソフビに代表されるような、カドがとれた柔らかい表現を得意としています。
こういった理由から、絵を描く際には「スラッシュ成型で作られるソフビ」をまず念頭に置いて、デザインを進めて行く必要があり、ある程度の前提知識が必要と覚えてください。
スラッシュ成型ってなに?
インディーズソフビの主な生産技法のひとつです。
スラッシュ成型とは、ソフトビニール(ソフビ)製品を作るための成型方法の一つです。
この方法は、特に中空の人形やフィギュアの製造に適しています。
このほかにも「ローテーション成型」や「射出成型」などビニール系材料を加工するには
様々な技法が存在します。各成型技法を理解する事で、自身の作品に適した成型方法を
選ぶことが出来て、スラッシュ成型に適した設計・表現に挑戦することも可能になります。
それぞれの技法には、それぞれの技法に則った金型が必要になるため、初期費用などの
コスト面や出来上がる成型品にも長所や短所があるので軽く押さえておきましょう。

なぜ多くのソフビ作家さんが「スラッシュ成型」を選ぶのか?
上記の表から、取捨選択した結果。個人製作で手が出るギリギリがスラッシュ成型という事です。初期費用が100万~200万円程度の準備金でフィギュア制作に参入できるのは
スラッシュ成型ならではのメリットを最大限活かした選択だと分かると思います。
無尽蔵に予算があり、スラッシュ成型では表現できない作品を作るのであれば
思い切って射出成型やローテーション成型に挑戦してみた方が近道かも知れませんね。
イラスト制作・設計のポイント
スラッシュ成型を前提としたパーツ構成で考えよう
前提知識の説明が終わり。ここからはスラッシュ成型の金型に合わせた
イラストの制作・設計のポイントを解説します。
金型の構造を理解しよう
前項での説明の通り、スラッシュ成型ではペースト(液状)の材料を
金型に注ぎこんで、熱反応によって固形化。金型内部の形状を複製します。
ですので、金型内部は液体で満たせる構造にしなくてはならない。という制約が付きます。
液体は重力に逆らって上には流れないので、すべてのパーツは湯口から下へ
配置する必要があります。
イラストを描こう
ここまでの金型の制約、ソフビ用にアレンジが必要なデフォルメなどを全て含めて
実際にイラストを描こうとすると、かなり難しいと思います。
それもそのはず、そもそもソフビのデザイン・設計はそのくらい難しいんです。
世界で唯一のデザインを立体化出来るように、世界初の試みの真っ最中です。
今イベントで販売されているソフビも全て、かつて作られた事が無い唯一無二のソフビ。
金型が世界に一つしかない、特別な作品ばかりなのです。
ベテランの作家さんも、新進気鋭の作家さんも。新しい作品を作ろうとする度に
「この形状で金型にできるかな?」「金型にしたところで成型できるかな?」と
不安や苦しみを超えて作品を作り続けて来たのです。
ソフビを作ろうと思ったアナタの挑戦は生半可な道のりではありません。
時には数週間、数か月頭を悩ませ、苦しむ事になるかも知れません。
予算も無いのに「プロに描いてもらえよ」なんて悪魔がささやくかも知れません。
これから原型や金型、量産、イベント出展料、交通費とたくさんお金が必要なのに、、、
使っていいのか?その予算!!気持ちを強く持ちましょう!!
それでも作りたい気持ちがあるなら!始めてください!
さぁ描け!!一歩踏み出すために!!
そして次回は「原型」というものについて、話していこうと思います。
イラストで苦しんだと思ったら、次は立体化最大の壁。造形に踏み込みます!!
当日版権ソフビを造ってる方の話を聞きたくて、ここに辿り着きました。
ソフビ製作工程を調べればしらべるほど、大変すぎると思ってまして…
主に版権許諾を受けてから、原型はまだしも、金型・生産・彩色などなど…WFに間に合うのかなと…そういう痒い所の話を聞かせてもらえないかと思ってます!