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第四章:スラッシュ成型について

  • 執筆者の写真: エンビー
    エンビー
  • 5月27日
  • 読了時間: 3分

スラッシュ成型について
スラッシュ成型について

スラッシュ成型

柔らかい質感と独特の存在感を持つ「ソフビ」。その多くは スラッシュ成型(中空成型) という、昔ながらの職人技に支えられた製法で作られています。今回は、初心者の方にも分かりやすく スラッシュ成型とは何か、そして なぜ海外拠点生産のような大量生産には向かないのか など得意な事、苦手な事を解説します。

■ スラッシュ成型とは?

スラッシュ成型は、金属製の型の中に液状のPVCを流し込み、型の内側に樹脂を“張り付けて”いく製法です。型の中で樹脂が固まったら余分な材料を流し出し、冷まして取り出すことで、中が空洞のソフビが完成します。

ポイントは「肉厚の付き方に一つとして同じものはなく、職人のコントロールによって“良い状態”を再現し続ける必要がある」という点です。  この“再現性を保つ技術”こそが、ソフビ特有の味わいを生み出す源になっています。

■ スラッシュ成型のメリット

● ① 少量生産に強い

金型が比較的安価で、ロット数が少なくても採算が取りやすい製法です。インディーズソフビ作家さんや小規模メーカーが作品を発表しやすい理由のひとつです。

● ② 独特の質感・表情が出せる

樹脂の流れ方や温度、型の扱い方によって微妙に仕上がりが変わります。この“個体差”がソフビの魅力であり、コレクターが惹かれるポイントでもあります。

■ スラッシュ成型のデメリット

● ① 大量生産に向かない

最大の弱点がここです。スラッシュ成型は 職人が一型ずつ、その型に合った温度管理や流し込みのタイミングを判断しながら作る“手作業中心の製法” です。そのため、以下の理由で海外拠点生産のような大規模ラインには不向きです。

  • 作業の自動化が難しい(機械化してもロットと採算が合わない)

  • 職人の技量差が品質に直結する

  • 1ショットの成型時間が長い

  • 複数型を同時に扱うには熟練が必要

海外の量産工場が得意とする「1日数百〜数千個」というスピードには、構造的に追いつけません。

● ② 気温・湿度・材料の状態に左右されやすい

PVCの粘度や型の温度が少し変わるだけで仕上がりが変化します。そのため、安定した品質を保つには経験と細かな調整が欠かせません。

● ③ 厚みの均一化が難しい

中空構造のため、どうしても厚みのムラが出やすく、設計段階で「ゾルが金型全体に綺麗に行き渡り、成型時にはムラなく流れ出る」ための工夫が必要 です。この経験や予想に基づく緻密な計算、金型設計と職人技の両立が、スラッシュ成型の難しさでもあります。

■ なぜ海外拠点生産のような大量生産には向かないのか?

まとめると、スラッシュ成型は 「職人の感覚と経験」に依存する工程が多く、ライン化・自動化が難しい 製法です。海外拠点生産のように「大量・高速・均一」を求める生産方式とは相性が良くありません。

逆に言えば、“大量生産できないからこそ、ソフビは特別な存在であり続けている”  とも言えます。

■ まとめ

スラッシュ成型は、効率やスピードよりも 作品の味わい を大切にする製法です。大量生産には向きませんが、少量でも魅力的な作品を作りたいクリエイターにとっては、今もなお最適な選択肢のひとつです。

次回は「ペイント(彩色塗装)」について解説していきます。

次回彩色塗装について
次回「彩色塗装」について

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